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<質問事項>
監事監査において、現在行っている会計処理は、古い基準で最新の基準で処理をする必要があるとの指摘を受けました。
何を対応すればを把握するために、旧基準からの変更の経緯と旧基準からの主な変更点(相違点)を教えて下さい。
公益法人会計基準は、昭和52年に公益法人監督事務連絡協議会の申合せとして設定され、昭和60年に公益法人等の指導監督等に関連する関係省庁連絡会議による改正されました。この昭和60年に改正された基準が「60年改正基準」として、長らく公益法人(社団法人・財団法人)が採用する会計基準として利用されてきました。
その後、平成16年に全面的な大改正(「平成16年改正基準」)が行われ、平成18年4月1日より施工されましたが、平成18年に公益法人制度改革関連三法が成立し、新しい公益法人制度を踏まえた会計基準とする必要が生じたため、平成20年に新制度に対応した会計基準(「平成20年改正基準」)が制定されました。
この「平成20年改正基準」が最新の公益法人会計基準となっています(平成26年現在)。
平成16年改正基準 | 平成20年改正基準 | |
---|---|---|
会計基準の体系 | 「公益法人会計基準」 ・会計基準及び注解 ・別表及び様式 | 「公益法人会計基準」 ・会計基準及び注解 「公益法人会計基準」の運用指針」 ・別表及び様式 |
財務諸表の定義 | 財務諸表は下記のものと規定 ・貸借対照表 ・正味財産増減計算書 ・キャッシュ・フロー計算書 ・財産目録 | 財務諸表は下記のものと規定 ・貸借対照表 ・正味財産増減計算書 ・キャッシュ・フロー計算書 (財産目録は財務諸表以外の文書) |
附属明細書の記載 | 記載なし | 内容、構成を規定 |
基金の記載 | 記載なし | 注記への記載等を規定 |
貸借対照表・正味財産増減計算書の作成単位 | ・会計区分 *法人全体の情報として総括表を作成 | ・法人 *会計区分ごとの情報として内訳書を作成 |
<会計基準の体系>
平成16年改正基準は、基準、注解、別表、様式をまとめて会計基準としていましたが、今後の制度運用上の便宜を考え、平成20年改正基準では別表、様式を運用指針として取り扱われています。
<財務諸表の定義>
平成16年改正基準は、財務諸表を貸借対照表、正味財産増減計算書、財産目録、キャッシュ・フロー計算書と規定されていましたが、公益法人制度改革関連三法における会計に関する書類の定めと整合させるために、財産目録は財務諸表の範囲から除かれました。
<附属明細書の記載>
平成16年改正基準では、附属明細書に関する規程がありませんでしたが、公益法人制度改革の法令において、附属明細書の記載項目が規定されています。これらの規定と整合させるために、平成20年改正基準においては、附属明細書の記載が設けられました。
<基金の記載>
平成16年改正基準においては、基金に関する規定が設けられていませんでした、一般社団法人及び一般財団法人に関する法令において、一般社団法人では基金の設定が可能となりました。これらの規定と整合させるために、平成20年改正基準においては、基金に関する規定が新たに設けられています。
<貸借対照表・正味財産増減計算書の作成単位>
平成16年改正基準においては、特別会計を設けている場合、会計区分ごとに貸借対照表・正味財産増減計算書を作成し、法人全体の数値として総括表を作成することなっていました。
これに対し、平成20年改正基準においては、法人全体の貸借対照表・正味財産増減計算書を作成し、会計区分ごとの数値は、貸借対照表内訳書、正味財産増減計算書内訳書を作成することとなっています。
<質問事項>
公益法人(公益社団法人・公益財団法人・一般社団法人・一般財団法人)は、公益法人会計基準に準拠する必要があるのでしょうか?
公益法人における会計処理は、法令等により一般に公正妥当と認められる公益法人の会計基準その他の公益法人の会計慣行によることが求められています。
このような規定に対し、「公益法人会計基準」は、「公益法人の財務諸表及び附属明細書並びに財産目録の作成の基準を定め、公益法人の健全なる運営に資することを目的」として制定されています。
そして、公益法人会計基準における「公益法人」とは、「公益法人会計基準」の運用指針において、下記に定めた法人と規定されています。
①認定法第2条第3号に定めのある公益法人
公益社団法人、公益財団法人が該当します。
②整備法第123条第1項に定めのある移行法人
特例民法法人から移行した一般社団法人及び一般財団法人であってその作成した公益目的支出計画の実施が完了していない法人が該当します。
③整備法第60条に定めのある特例民法法人
整備法第44条、45条を申請する際に計算書類を作成する必要がある法人が該当します。
④認定法第7条の申請をする一般社団法人又は一般財団法人
公益認定の申請をする一般社団法人又は一般財団法人が該当します。
これらの法人については、原則として、公益法人会計基準を適用することが必要と考えられています。
<質問事項>
最新の公益法人会計基準(平成20年改正基準)では、どのような帳票を作成する必要があるのでしょうか?特に収支計算書の扱いを教えてください。
平成20年改正基準における財務諸表等の体系は下記のとおりです。
平成20年改正の公益法人会計基準では、収支予算書・収支計算書の規定はありません。
収支計算書は、収支予算を実行した結果を報告する文書で、60年度基準では、公益法人(社団法人・財団法人)が作成すべき計算書類の一つとして規定されていました。
しかし、収支計算書は内部管理目的や主務官庁報告目的には有用ですが、広く一般に公益法人(社団法人・財団法人)の活動状況を報告するという目的には必ずしも合致しないと考えられ、平成16年改正基準においては、公益法人(社団法人・財団法人)が作成すべき計算書類の体系から外されました。このため、現在の公益法人会計基準が規定する書類としては収支計算書の作成は、不要となります。
しかし、主務官庁において、法人の予算管理の状況等が十分明らかとならないと判断する場合には、作成を求められる場合があります。
また、従来型の収支予算書により法人(公益社団法人・公益財団法人・一般社団法人・一般財団法人)の業務を執行している法人は、その執行状況をあきらなにするために収支計算書を作成することが必要な場合もあります。
<質問事項>
公益法人(公益社団法人・公益財団法人・一般社団法人・一般財団法人)が作成する貸借対照表はどのようなものでしょうか?
貸借対照表は、事業年度末日における公益法人(公益社団法人・公益財団法人・一般社団法人・一般財団法人)の財政状態を表示する計算表です。
この貸借対照表は、公益法人会計基準において、「当該事業年度末現在におけるすべての資産、負債及び正味財産の状態を明りょうに表示するものでなければならない」と定められ、表示する区分も規定されています。
資産 | 流動資産 | |
固定資産 | 基本財産 | |
特定資産 | ||
その他の固定資産 | ||
負債 | 流動負債 | |
固定負債 | ||
正味財産 | 基金 | (基本財産への充当額及び特定資産への充当額を内書として記載) |
指定正味財産 | (基本財産への充当額及び特定資産への充当額を内書として記載) | |
一般正味財産 | (基本財産への充当額及び特定資産への充当額を内書として記載) |
<質問事項>
公益法人(公益社団法人・公益財団法人・一般社団法人・一般財団法人)が作成する正味財産増減計算書はどのようなものでしょうか?
正味財産増減計算書は、事業年度末日における公益法人(公益社団法人・公益財団法人・一般社団法人・一般財団法人)の正味財産の増減を表示する計算表です。
この正味財産増減計算書は、公益法人会計基準において、「当該事業年度における正味財産のすべての増減内容を明りょうに表示するものでなければならない」と定められ、表示する区分も規定されています。
一般正味財産 増減の部 | 当期一般正味財産 増減額 | 経常増減の部 | 経常収益 |
経常費用 | |||
当期経常増減額 | |||
経常外増減の部 | 経常外収益 | ||
経常外費用 | |||
当期経常外増減額 | |||
一般正味財産期首残高 | |||
一般正味財産期末残高 | |||
指定正味財産 増減の部 | 当期指定正味財産増減額 | ||
指定正味財産期首残高 | |||
指定正味財産期末残高 | |||
基金増減の部 | 当期基金増減額 | 基金受入額 | |
基金返還額 | |||
基金期首残高 | |||
基金期末残高 | |||
正味財産期末残高 |
代表電話:0120-038-121
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